親が住んでいる家で同居することになった場合、二世帯住宅ではないため、何かと不便なことがでてくることもあるでしょう。二世帯住宅にリフォームするか建て替えるか、どちらかを選択しなければならなくなったとき、どちらのほうがお得なのか気になるところです。ここでは、一般的な住宅より長く安心して暮らせる「長期優良住宅」にスポットを当て、長期優良住宅化リフォームと長期優良住宅への建て替えのどちらがお得なのかを解説します。
長期優良住宅化リフォームとは、リフォームによって住宅を長寿命化させるリフォームのことです。リフォームによって、住宅の性能を向上させることができます。ただし、長期優良住宅化リフォームと認定されるためには、厳しい基準をクリアすることが必要です。そのため、一般的なリフォームよりも費用はかさみがちですが、長期優良住宅(増改築)と認められれば国からの補助金が受け取れます。
2018年度に引き続き、2019年度も国土交通省による長期優良住宅化リフォームへの補助が行われる予定です。2019年度に予定されている補助について見ていきましょう。
長期優良住宅化リフォームと認定されるためには、リフォーム工事前に建物の性能を調べるインスペクションを実施し、住宅の維持保全計画とリフォームの履歴を作成することが必要です。また、リフォーム工事後の住宅は、耐震性、省エネルギー性などを有し、劣化対策がしっかりと施されていなければなりません。
これらの基準を満たす工事を、国に認定された補助事業者が行うと、長期優良住宅(増改築)と認められ、補助対象リフォームの工事費用の3分の1が補助されます。補助金の上限額は下記の3種類です。
・長期優良住宅(増改築)認定を取得せず、一定の性能向上が認められる場合:100万円
・長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合:200万円
・認定を取得した住宅のうち、さらに省エネルギー性能を高めた住宅:250万円
上記に加えて、3世代同居対応改修工事を実施すると、それぞれ補助額の上限は50万円プラスされます。
長期優良住宅化リフォームを行った場合、標準的な工事費用相当額の10%が所得税額から控除されます。適用期限は2021年12月31日までで、控除されるのは工事を行った年だけです。控除額は、下記のような違いがあります。
・耐震化もしくは省エネ化と耐久性向上の工事を行った場合:上限250万円
※省エネ化とあわせて太陽光発電装置を設置した場合:上限350万円
・耐震化と省エネ、耐久性向上を行った場合:上限500万円
※省エネ化と合わせて太陽光発電装置を設置した場合:600万円
次に、古い住宅を取り壊し、長期優良住宅を建てた場合の補助金について見ていきましょう。
住宅取得者の収入によって給付額が変動する給付金です(一般住宅と、長期優良住宅とで給付金額が変わる給付金ではありません)。給付額は10万~50万円(消費税8%では30万円まで)で、年間の収入が775万円(消費税8%では510万円)を超える人は給付の対象外となります。
住宅ローンで自宅を購入する場合、一般住宅では年間上限40万円の住宅ローン控除が、長期優良住宅に認定されると上限は50万円です。住宅ローン控除は、10年間または13年間(消費税引き上げにともなって延長)受けられるため、毎年12月31日時点での住宅ローン残高の1%が50万円以上となる場合、最大で500万円の控除が受けられます。
詳しくは、こちらの記事もご確認ください。
>>還付金が最大50万円!知って得する住宅ローン控除の基礎知識
>>住宅ローン控除の延長など消費増税後に拡充する制度も。住宅購入の支援策を解説
長期優良住宅に認定されると、毎年支払う固定資産税や、所有権保存登記に必要な登録免許税、不動産取得税で優遇が受けられます。固定資産税では、50%の減額措置を5年間受けられます。(一般住宅では3年間)登録免許税は、一般住宅では不動産価格の0.15%が税額となりますが、長期優良住宅では0.1%になります。
不動産を取得した年に一度だけ支払う不動産取得税は、一般住宅では課税標準額から1,200万円控除のところ、長期優良住宅では1,300万円控除されます。
補助金や税制優遇で比較すると一時的に受け取れる金額は、長期優良住宅化リフォームのほうの金額が大きい傾向です。しかし、長期的に見てみると新築の場合には10年または13年間の住宅ローン控除が受けられ、さらに固定資産税が5年間減税されます。また、新築住宅のほうがメンテナンス費用もかからないといえるでしょう。
長期優良住宅化リフォームをしようとインスペクションを行ったところ、あちこち劣化しているのが分かり、リフォーム時に建て替えと同じくらいの費用がかかってしまうこともあります。長い目で考えると、新築住宅のほうが安心といえるでしょう。「リフォームか」「建て替えか」について迷ったときには、一度住宅会社に相談してみましょう。
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