注文住宅を建てる際に、家計の収入源が2つある共働き世帯と、夫か妻のどちらかの収入だけに頼る世帯とでは、住宅ローンの組み方の選択肢や借りられる金額が異なります。さらに、住宅を建てるタイミングや、建築先の土地選びにも違いが見られる傾向です。ここでは、調査結果から分かった共働き世帯の注文住宅事情を紹介します。
はじめに、共働き世帯の住宅の購入検討時期について見ていきましょう。株式会社リクルート住まいカンパニーが2018年12月に発表した「2018年 注文住宅動向・トレンド調査」によると、共働き世帯(子どもあり)が住宅の購入を検討する時期として、最も多いのが「出産」で全体の22.4%でした。入居したいタイミングは「ライフステージ上のタイミングではない」が21.5%でトップです。次いで、「子どもの小学校入学」21.1%、「子どもの保育園入園」が18.9%となっています。
共働き世帯の増加とともに、住宅の購入を早期に考える人も増えている傾向です。しかし、調査結果にあるように共働き世帯は、妊娠・出産のタイミングで家づくりを検討し始めても遅くはないでしょう。共働き世帯において、懸念されるのが妊娠・出産による妻の収入の減少です。出産・育児一時金や育児休業給付金を受け取れるとしても、実際に働いている場合と同等の収入を得られるわけではありません。
そのため、出産を機に住宅の購入を検討する世帯は、妊娠・出産による収入の減少を含めて住宅ローンの返済の計画を立てた方がよいでしょう。結婚してすぐに住宅を購入した場合、妻の妊娠・出産・育児で収入が減ることを加味せずに返済計画を立てると、住宅ローンの返済が難しくなる可能性がある点に注意しましょう。
このようなことにならないよう、住宅ローンを組む際には、夫の収入だけで生活する時期があることを想定しておくことも大切です。
出産後は、保育園に子どもを預けて職場への復帰を考えている人は、保育園に入園できない可能性や、妻が出産後に体調を崩してしまい職場に復帰できないケースがあることも考えておかなければなりません。注文住宅への入居時期を小学校入学や、保育園入園の時期に合わせる共働き世帯が多いのは、これらのリスクを回避した結果であるといえるでしょう。
同じく「2018年 注文住宅動向・トレンド調査」を見ると、共働き世帯(子どもあり)の建築エリア選びで重視している要素として、最も多かったのが「小学校との距離」で約45%でした。次いで、以下のような順位で続きます。
・「治安のよい」43.6%
・「閑静な住宅街である」30.2%
・「職場との距離」29.4%
・「商業施設などが近い(自宅から10分圏内)」28.4%
・「妻の実家との距離」26.9%
また、共働き世帯以外と比べると大きく差が見られるのが「保育園に入りやすい自治体である」の回答です。共働き世帯が23%であるのに対し、共働き以外の世帯では13.5%となっています。このことから、共働き世帯では、妻の出産後の職場復帰についてまでしっかり考えてから住宅の購入に踏み切っていることが分かります。
同調査では、共働き世帯が取り入れたい間取りについてもアンケートを行っています。
取り入れたい間取り | 共働き世帯 (子どもあり) |
共働き世帯以外 (子どもあり) |
差(共働き世帯-共働き世帯以外) |
---|---|---|---|
ウォークインクローゼット | 42.3% | 47.0% | ▲4.7 |
パントリー | 34.4% | 40.9% | ▲6.5 |
シューズクローク | 31.6% | 40.1% | ▲8.5 |
カウンターキッチン | 31.2% | 40.3% | ▲9.1 |
室内干しスペース | 30.7% | 29.1% | 1.6 |
畳コーナー | 24.6% | 21.1% | 3.5 |
アイランドキッチン | 23.2% | 20.7% | 2.5 |
広い浴室 | 18.1% | 17.9% | 0.2 |
広いテラス・バルコニー | 8.4% | 6.3% | 2.1 |
スキップフロア | 7.5% | 5.6% | 1.9 |
2階リビング | 6.0% | 4.6% | 1.4 |
上図から、共働き世帯と共働き世帯以外では、重視する間取りに差があることが分かります。「カウンターキッチン」は、共働き世帯が31.2%に対して共働き世帯以外の世帯は40.3%と多く、「アイランドキッチン」では共働き世帯が23.2%、共働き世帯以外の世帯は20.7%です。「アイランドキッチン」は、どこの角度からでもキッチンに入ることができ、共働き世帯の家族が家事に参加しやすいためと推測できるでしょう。
一方、「畳コーナー」「広い浴室」「室内干しスペース」の回答結果も共働き世帯が多い傾向です。これらは、共働き世帯が家庭内に癒やしを求めたり、在宅時間が短く外干しがしづらかったりすることが原因の一つかもしれません。
住宅を購入する際には、住宅購入後のライフイベントを洗い出しマネープランを立て、返済が滞りなく行えるかどうかシミュレーションしておくことも大切です。妻が出産後、職場への復帰を急がなければならないような返済計画ではなく、ゆとりをもった返済計画を立てましょう。立地や間取りは、ライフスタイルに大きくかかわる部分です。今よりも便利に暮らせるよう、住宅会社と相談しながら注文住宅の土地選び・設計を行っていきましょう。
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