マイホームは欲しいけれど、住宅ローンの返済が心配という人も多いのではないでしょうか。人生に何度もない大きな金額の買い物である住宅の購入は、そのローンの返済も数十年かかるイメージがあります。しかし、実際には多くの人が繰り上げ返済を活用し、契約当初の返済期間よりも短期間で住宅ローンを完済している傾向です。ここでは、何かと不安な住宅ローンでお金を借りた後について考えていきましょう。
住宅ローンといえば、30年以上返済が続く長期間のものをイメージしがちです。しかし、多くの人は借入期間が30年以下のローンを選択しています。住宅金融支援機構が行った「2018年度 民間住宅ローンの貸出動向調査」によると、2014~2017年度の間に住宅ローンを契約した人の平均貸出期間(返済期間)は、25~26年でした。
貸出期間が30年以下は全体の8~9割を占め、20年以下の割合もおおよそ2割ほど存在しています。この結果を踏まえると、当初から35年以上のローンを組む人の割合は、それほど多くないことが分かります。
実際の完済までにはどれほどの期間を要しているのでしょうか。同じく住宅金融支援機構の調査によると、完済までにかかる期間は15年以下が約7割を占めています。多くの人は、当初は長くローンを組み、住宅ローン控除を受け取りつつ繰り上げ返済を行っている傾向です。アットホーム株式会社が2014年に行った「『住宅ローン完済』の実態調査」によると、当初の予定より繰り上げた平均期間は11.2年です。
多くの人がボーナスや退職金を繰り上げ返済に充て、住宅ローンを早い段階で完済している傾向なことがよく分かります。
ここからは、繰り上げ返済とはどのようなものなのか解説します。
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入金額の一部を返すことです。繰り上げ返済の種類には、期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。期間短縮型は、繰り上げ返済をしても毎月の返済額はそのままで、借入期間を短くする返済方法のことです。返済額軽減型では、返済期間は変えずに毎月の返済額を軽減することができます。
返済期間を短くしたい場合には、期間短縮型の繰り上げ返済を利用しましょう。
繰り上げ返済の方法は、金融機関によって異なります。繰り上げ返済に手数料がかかる場合もありますが、無料の金融機関もあります。100万円以上からなどまとまった金額でなければ繰り上げ返済ができないローンや、毎月少額ずつでも返済できるローンなどさまざまです。そのため、繰り上げ返済でなるべく早くローンを完済したい人は、繰り上げ返済の方法という面からもローンを選択する必要があります。
住宅金融支援機構のフラット35の場合、繰り上げ返済の額は金融機関の窓口で手続を行う場合は100万円以上から、ローンに関する情報をネットで確認できる「住・My Note(すまいのーと)」を利用してインターネットから繰り上げ返済の手続きを行う場合は10万円以上からと決められています。繰り上げ返済できる日は月々の返済日で、ボーナス払いがある場合にはボーナス払い分も含めた6ヵ月分(毎回払い6回分+ボーナス払い1回分)を返済することが必要です。手数料はかかりません。
住信SBIネット銀行のネット専用住宅ローンでは、いつでも繰り上げ返済ができ、何度でも手数料が無料となっています。1円以上から1円単位で繰り上げ返済できるため、毎月の余剰金を繰り上げ返済に回すことも可能です。
三菱UFJ銀行の場合は、繰り上げ返済の申し込みをネットから行うと繰り上げ返済の手数料が無料になります。電話での申し込みだと5,400円、窓口での申し込みとなると1万6,200円の手数料が必要です。
最後に、繰り上げ返済によって総支払額がどう変化するのか見ていきましょう。借入期間30年、全期間固定の金利1.5%、ボーナス払いなしで3,000万円を借り入れしたAさんは、借り入れの10年目に約300万円の繰り上げ返済を行いました。すると、残りの支払い期間は20年から16年10カ月まで短縮され、利息額を約95万円節約することができました。
一度借りたら完済までに長い期間を要するというイメージのある住宅ローンですが、多くの人が15年ほどで完済していることが分かりました。期間短縮型の繰り上げ返済を行うことで、ローンを当初の予定よりも早く返すことができ、さらに利息の軽減も可能となります。住宅ローンを借りる際には、当初から繰り上げ返済を視野に入れ、手数料がかからず簡単に繰り上げ返済を申し込める金融機関を選択するのも賢い方法といえそうです。
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