小さな子どもがいる家庭や、これから子どもが生まれる家庭の場合、住宅を建てる際に気を付けたいのが安全性です。歩き始めたばかりの子どもや好奇心旺盛な幼児は、少し目を離したすきに危険がおよぶ状態になってしまうことが少なからずあります。注文住宅を建てるのなら、子どもの安全に配慮した家づくりを考えてみましょう。
まずは、子どもにとって危険性のある場所について見ていきましょう。
家の中で、最も気を付けたいのが階段です。子どもだけでなく、高齢者にとっても危険が潜む箇所になります。手すりを付けるのはもちろん、小さな子どもがいる家庭は「隙間があるスケルトン階段にしない」「幅を広くとる」「勾配を緩やかにする」「段差をなるべく低くする」など工夫をしましょう。階段の途中に踊り場を設けるのもポイントです。階段の途中で休憩することができますし、万一足を踏み外してしまった際にも、落下の勢いを和らげることができます。
浴室やトイレにも危険は潜んでいます。入浴中の事故以外にも、「目を離したすきに残り湯で子どもがおぼれた」という事故もあります。トイレでは、便器への幼児の転落や、洗剤の誤飲といった危険があります。浴室やトイレに侵入できないよう、扉の外側上部に補助錠を付けておきましょう。お風呂は湯を残さず、家族が入り終わったらすぐに排出するなどの対策を行うと無難です。
浴室の床は滑りにくい材質のものを選びましょう。浴室・トイレともに手すりを付けることも効果的です。手すりがあることで、立ち上がりやすくなるだけでなく転倒防止にもなります。
キッチンは包丁や調理器具、ガスコンロやIHクッキングヒーターなどがあり、危険性の高い場所です。赤ちゃんがハイハイからつかまり立ちや伝い歩きをするようになった時期は特に注意しましょう。例えば、ビルドインタイプの食器洗い乾燥機からの熱い排気、低い位置にある引き出し、その中に収納している刃物類などに触れないようにするなど、注意が必要です。
キッチンスペースに子どもが入れないようにゲートや引き戸を設けたり、キッチンや収納棚の引き出しを開けられないようチャイルドロック付きのキッチンを導入したりするなど工夫をしましょう。
安心して子育てできる住環境を整えるために、設計段階から安全な家づくりを意識してください。上記で紹介した箇所以外にも、バルコニーや玄関、畳、ベッド、ソファなど、危険な場所はいくつもあります。たびたび転落事故が起こるバルコニーは要注意です。手すりの高さを十分に設け、小さな子どもが登れないようにしておきましょう。
バルコニーへ侵入できないよう、かぎの位置を高くするといった工夫も大切です。畳やワックスがけした床で転倒してしまうこともあります。「滑りにくい床材を利用する」「子ども部屋にはコルクマットを敷く」など転倒しにくい床を選ぶ対策をしましょう。室内ドアで指を挟んでしまわないための配慮も必要になります。室内のドアは、片開きではなく引き戸がおすすめです。
片開きのドアでは、ちょうつがいのある方に指を挟み、大けがをしてしまうことがあります。引き戸にするメリットはこれだけではありません。改正建築基準法により、2003年7月から新築の住宅にはシックハウス対策のため換気設備の設置が義務づけられました。そのことから、室内ドアのほとんどにアンダーカットという隙間が設けられています。
アンダーカットとは、ドアの下部にある1センチほどの隙間のことです。この隙間に子どもが足の指を挟んでしまう事故が発生しています。引き戸の場合(上吊りタイプの引き戸を除く)、少しドアを開けておくことで通気が可能となるため、アンダーカットは設けられていません。これらのことから、子どもの安全を考えたときには、引き戸が有効であるといえます。子どもにとって安全な家づくりを目指す人は、これらの点に注意し、住宅会社と設計を検討しましょう。
消費者庁が2017年にまとめた「子どもの事故の現状について」の資料を見ると、2010~2014年の間、0~6歳の子どもの死亡事故は、自然災害による死亡を除き、住居内での事故が39%です。大人がほんの少し目を離したすきに、思いもよらない事故が起きてしまうことがあります。家の中での事故を防ぐため、今回紹介した方法を参考に、子どもも安全に過ごせる家づくりを意識してみてはいかがでしょうか。
>>【無料小冊子プレゼント】「本当にいい家」に住みたい人に知ってほしいこと
【オススメ記事】
・新築住宅にかかる税金について。消費税や固定資産税はいくらかかる?
・建ぺい率・容積率にカーポートは影響する?カーポートの延床面積の考え方
・二世帯住宅の間取りが知りたい。50坪・40坪・30坪で変わる家づくり
・温泉旅館のような家づくりの工夫。和モダンで最上級のリラックスを
・建売住宅?注文住宅?それぞれのメリット・デメリット