注文住宅を建てるとき、多くの人が内装の色選びや組み合わせに頭を悩ませることでしょう。床や天井、壁紙などは、着工前に決めておかなければなりません。居心地のよい快適な空間をつくるために、家の印象を左右する色の基礎知識や、配色の基本パターンをご紹介します。
カラーコーディネートを考える前に、まずは色の仕組みについて理解するところから始めてみましょう。
色は、赤や青など色味のある「有彩色」と、黒やグレーなど色味のない「無彩色」の2つに大別されます。さらに有彩色には、色の違いを示す「色相」があり、赤やオレンジ色などの暖色と青や緑色などの寒色に分かれます。これらを色味の近い順に連続的に並べ、円環状にしたものが「色相環(しきそうかん)」です。
同じ色の中でも、鮮やかさやにごりの少なさを表す指標が「彩度」です。彩度が高いほど色鮮やかでにごりがありません。にごりがあって色が薄い色は、彩度が低いということになります。
明度とは、色の明るさの指標です。白に近いほど明度が高く、黒に近づくほど明度は低くなります。無彩色は、明度の強弱のみで分類されます。
明度と彩度を同時に考えたものが「トーン」です。明度が高く彩度が低いと淡いトーンに、明度も彩度も低いと暗いトーンに、明度は中程度で彩度が高いと色味の強い派手なトーンになります。同じ色でもトーンの違いによって大きく印象が変わるので、色選びとあわせてどのようなトーンにするかも考えておきましょう。
内装や家具の色を選ぶときは、まず部屋の大半を占める壁・床・天井の色から決めていきます。これらを家の「ベースカラー」と呼びます。ベースカラーは建築後に変更しづらい部分なので、好みを活かしつつ長期間使用しても飽きないよう、ベーシックな色を選ぶことが大切です。
ベースカラーが決まったら、次は大型家具やカーテンなどで使う「サブカラー」を選びます。そして最後にクッションや雑貨など小物に使う「アクセントカラー」を決めましょう。それぞれ配分する目安は、ベースカラー7割、サブカラー2割、アクセントカラー1割が適切です。
次に、色の組み合わせの基本パターンを理解しましょう。基本の4つのパターンを知ることで、色の選び方が分かります。
同じ色の明度や彩度をずらして組み合わせるカラーコーディネートです。同一色のアイテムを組み合わせるだけで成り立つため、手軽に実践できます。例えば、リビングは茶色をベースにすると決めた場合、床や天井は淡いトーンの木材に、ソファーやラグ、カーテンなどは濃く暗い茶色にする、といった具合です。
こうすることで、淡いトーンでリビングに明るく広い印象を与えつつ、部分的に濃く暗い色を置くことで空間を引き締めることができます。さらにアクセントとしてカーテンに柄物を取り入れたり、床材と天井で質感の異なる材質を選んだりすると、空間に表情が生まれます。
色相環で隣り合う色を使ってまとめる類似配色は、色同士がぶつかり合うことがなく落ち着いた印象を与えます。類似配色を上手にコーディネートするコツは、メインカラーとサブカラーの他にアクセントカラーを取り入れることです。
温かみのある空間を目指して、メインカラーを暖色の黄色にしたとします。この場合は、オレンジ色や緑色までが類似色です。床や天井は黄色味を帯びた木材にし、ラグやカーテンをオレンジ色に、さらにアクセントとしてグリーンの観葉植物を取り入れると、まとまった印象を与えつつ、空間にメリハリが生まれます。
赤と緑色、黄色と青など、色相環で向かい合う場所にある反対色でまとめるのが反対配色です。反対色はそれぞれの色を引き立てる効果があります。
寒色系のブルーをメインカラーにし、反対色のレモンイエローをアクセントとして使う配色は北欧を思わせるテイストで、洗練された印象になります。カーテンやラグの他に、テーブルやソファーなどの家具をブルーでまとめ、レモンイエローのクッションをアクセントに置くなど、アクセントカラーを少なめに配分することが反対配色を上手にコーディネートするコツです。
トーンを揃えるコーディネートが、同一トーン配色です。色数を増やしてもまとまりやすく、失敗の少ない配色方法といえます。例えば、壁紙や家具をパステルカラーで統一するカラーコーディネートが同一トーン配色です。同一トーン配色は多様な色を取り入れやすい半面、ぼやけた印象になりがちなので、遊び心のあるファブリック(布製品)を取り入れると個性的な空間を手軽に演出できます。
このようにカラーコーディネートには、いくつかの基本パターンがあります。理想の住まいを実現するために、色の知識を活用してイメージを固めることから始めましょう。ある程度イメージがまとまったら、住宅会社の担当者に相談してみるとより具体的にイメージを膨らませることもできるでしょう。
後から変更しづらい壁紙や床材のカラーコーディネートは、家族や担当者とじっくり相談し、比較検討しながら納得のいくものを決定しておくとよいでしょう。
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