令和7年6月5日、神秘的な恵みの雨の中、伊勢神宮式年遷宮「御杣始祭」裏木曽御用材伐採式が木曽の裏木曽国有林で厳かに執り行われました。
これは、令和15年秋に執り行われる『伊勢神宮 第63回式年遷宮』の最も重要な儀式「遷御の儀」に向けて今年から始まった、9年にわたる33のお祭りと行事の一つです。
弊社は会社設立当時より、注文住宅の建築基礎材として伊勢神宮と同じ『木曾ひのき』を使用してきたこともあり、今回は皆様に伊勢神宮の式年遷宮や木曾ひのきについてご紹介したいと思います。
<もくじ>
1.【飛鳥時代より1300年続く伊勢神宮の式年遷宮とは】
①伊勢神宮について
②式年遷宮とは
③式年遷宮の歴史
④9年かけて行われる式年遷宮の33のお祭り
2.【式年遷宮「御杣始祭」の儀式で伐採する御用材は「木曾のひのき」】
①なぜ遠い木曽から伊勢までひのきが運ばれるのか
②「御杣始祭」とは
③伐採方法は伝承技術「三ツ緒伐り」で
3.【社殿は檜が必須の日本古来の建築様式で】
4.【式年遷宮で生じた古材はその後2回も再利用され計60年利用される】
5.【遷宮で使われる檜はおよそ1万本】
6.【檜の優れた特性とその中でも特に品質の良い「木曾ひのき」】
①檜の耐久性
②切った後に強度が増すという不思議
③防虫防腐機能と癒しの香り
④湿度調整機能と消臭殺菌効果
7.【もりぞうで使用する「木曾ひのき」の特徴】
①強度と耐久性に優れた樹齢80年以上の芯持ち無垢材
②厳しい選別をされた約0.1%の最高品質「特選一等」材を使用
8.【おわりに】
9.【ご参考】
①伊勢神宮について
まず伊勢神宮についてです。伊勢神宮には天照大御神をお祀りする皇大神宮(内宮)と、衣食住をはじめ産業の守り神である豊受大御神をお祀りする豊受大神宮(外宮)、その他14所の別宮・43所の摂社・24所の末社・42所の所管社があり、これら125の宮社全てを含めて「神宮」といいます。
②式年遷宮とは
式年遷宮の「式年(しきねん)」とは定められた年を、「遷宮(せんぐう)」とは宮を遷すことが意味する通り、式年遷宮とは、20年に一度、神宮の内宮と外宮それぞれにある東西同じ広さの敷地を東西順に利用しながら、内宮・外宮正殿、垣根、鳥居、別宮等、計65棟に及ぶ建物を遷して建て直すと共に、殿内の神宝や御装束も全て新調して大御神に新宮へお遷りいただく、神宮最大のお祭りです。
③式年遷宮の歴史
20年に一度繰り返すこの「式年遷宮」の歴史は古く、第40代天武天皇のご発意により始まり、次の持統天皇4年(西暦690年)に第1回が行われ、一時の中断はあったものの飛鳥時代よりこれまで約1300年にわたって継承されてきた神事です。
④9年かけて行われる、式年遷宮の33のお祭り
式年遷宮のお祭りは、必要な木材(御造営用材)に関連する「御神木のお祭り」が約3年続いた後、新しい御敷地に社殿を造営する「社殿建築のお祭り」、大御神を新殿にお遷しするための「神遷しのお祭り」と、大きく3つに分けられた33のお祭りが9年かけて行われます。

(写真=写真AC)
①なぜ遠い木曽から伊勢までひのきが運ばれるのか
かつて御用材は、伊勢神宮に隣接する「宮域林」から供給されていました。しかしながら、鎌倉時代後期から檜の良材が採れなくなり、近隣の山や美濃の山、更に江戸時代中期には木曽の森林から供給されるようになりました。そして引き続き現在も、御用材は明治時代に国有化された木曽谷の御杣山(みそまやま)(長野県・岐阜県)で伐られています。
②「御杣始祭」とは
「御杣始祭(みそまはじめさい)」とは、式年遷宮の御用材を木曽の御杣山で正式に伐り始めるお祭りで、最初に御神体をお納めする御器「御樋代(みひしろ)」を奉製するための、御樋代木と呼ばれる檜を伐採します。
③伐採方法は伝承技術「三ツ緒伐り」で
「三ツ緒伐り(みつおぎり)」とは、斧のみ用いて3箇所から伐採する、古来より伝承される伐採技術です。今年6月木曽谷で行われた裏木曽御用材伐採式においては、御杣山の山中で御樋代木として選ばれた、左右に並ぶ樹齢110年の二本の檜を、御杣始祭の習わし通り先端で交差するよう三ツ緒伐りにて伐り倒されました。
社殿は「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」と呼ばれる、日本古来の建築様式で建てられます。これは、切妻・平入の高床式の穀倉の形式から宮殿形式に発展したものと考えられ、檜の素木を用い、屋根は萱葺、柱は掘立など、その姿は簡素にして直線的で素木の美しさを最も輝かせる建築様式と言えます。
しかし、明治新政府により他社においてはこれと完全に同じ形式で社殿を建てることを禁じられたため、伊勢神宮にしか存在しないという意味で「唯一神明造」と呼ばれています。
遷宮で生じた古材が、再利用されているのはご存じでしょうか。
例えば、内宮への入口の五十鈴川にかかる「宇治橋」の鳥居の内側の鳥居には内宮の旧正殿の棟持柱が、外側の鳥居には外宮の旧正殿の棟持柱が削り直して用いられています。さらに20年後はこの宇治橋の鳥居が再び再利用され、内側の鳥居は鈴鹿峠のふもとの「関の追分」、外側の鳥居は桑名の「七里の渡し」の鳥居となり、正殿の棟持柱となって以来60年も大切に使い続けられます。
その他、内宮と外宮の摂社・末社の修繕や造り替えとして使用される他、全国の神社に無償で提供されます。特に阪神大震災・北海道南西沖地震・東日本大震災の際は、被災した神社の復興に多く活用されました。
20年に一度行われる伊勢神宮の「遷宮」では、およそ1万本の檜が使われるそうです。遷宮に必要な用材の総材積は約10,000㎥で、樹齢 400年以上の巨木も用いられることも。
間伐することで混みすぎた立木の陽当たりなども改善されるため、式年遷宮は木を伐り木を植える再生のお祭りと言われるのも納得です。

法隆寺・宇治平等院鳳凰堂・正倉院の柱など、神社仏閣などで昔から神聖な木として使われてきた檜。奈良時代に書かれた日本書紀の中にも「スギ・クスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」と記述されていることはご存じでしょうか。
①檜の耐久性
檜は耐久力があるため、古来より神社や仏閣用の建築材として重宝され、世界最古の木造建築物として知られる「奈良県の法隆寺五重塔」や「三重県の伊勢神宮」の他、様々なお城や神社でも使用されてきました。
その中でも特に「木曾ひのき」は、木曽の厳しい生育環境の中でゆっくりと少しずつ長い年月をかけて成長するため、他の地域で育った檜に比べて年輪の間隔が緻密で、高い耐久性と香りや光沢が優れているのが特徴です。
②切った後に強度が増すという不思議
檜材は伐採してから約200年までの間、強度が2~3割上昇し続け、その後1000年という長い年月にわたって緩やかに元の強度に戻っていくと言われています。
切り出され建築の用材となっても生き続ける、不思議な力を持っています。
③防虫防腐機能と癒しの香り
檜の清涼感のある香りは、まるで森林浴をしているかのようなリラックス効果があり、その上、アレルギーのもととなるカビやダニの繁殖を抑える働きや防虫や防腐機能にも優れ、住まう人の健康にも効果が期待できます。
④湿度調整機能と消臭殺菌効果
木は伐採後も温度や湿度によって膨張・収縮をしながら、湿度の調整機能や消臭殺菌効果を発揮し続けます。

最後に、もりぞうで使用する「木曾ひのき」の特徴をご紹介させていただきます。
①強度と耐久性に優れた樹齢80年以上の芯持ち無垢材
もりぞうが使用する「木曾ひのき」は、国有林の中で管理され計画的に伐採された樹齢80年以上の成熟した間伐材です。ひずみや反りが生じやすいと言われる樹齢の若い未成熟材に比べ、圧倒的な強度と耐久性を誇ります。
また、芯持ち材は、木が成長する過程で重力の負荷を支えていた芯部分を含むため、強度や硬度が非常に高いのが特徴です。
正に、強度と耐久性に優れた高品質の無垢材と言えるでしょう。
②厳しい選別をされた約0.1%の最高品質「特選一等」材を使用
一本一本、曲げ強度と割れ・収縮に関わる含水率を測定して基準を満たしたものだけを厳選し、一本一本「木曽ひのき特選一等材」の印字をして、一定の基準を満たしたものだけが出荷されます。中でも、様々な基準をクリアした最高品質の「特選一等」材は、一年間における国産ヒノキ生産量のうち約0.1%にしか満たない最良品です。
今とは全く異なる環境や生活様式の中でも、様々な時代を経て、20年に1度という定期的な間隔で約1300年前続いた式年遷都の儀式の数々。
これは人々が伊勢神宮を敬い想いを深める行事的な面だけでなく、貴重な建築技術や調度品の数々を次の世代に着実に伝える「技術の伝承」という面においても素晴らしいシステムと言えるかもしれません。
今年始まったばかりの今回の式年遷都の行事は、令和15年秋までこれからまだまだ数多く続きます。どの行事も無事に滞りなく執り行われ、この先も末永く続くことが願われます。
・もりぞうで使用する木曾ひのきを伐採すると共に、木曽谷の森林環境保全整備事業を行っている有限会社ヤマカ木材さんの記事です。
>>育ててきたプロに聞く、木曾ひのきの魅力とは|こだわりの注文住宅をつくるメディア
・『木曾ひのき体験ツアー』
実際に使用される木曾ひのきがどのような自然環境で育ち、製材され、どんな試験を経ているのかを現地で確かめられる貴重なツアーです。
>>木曾ひのき体験ツアー|ひのきの家を作るなら|もりぞう|木曾ひのきの注文住宅(信越・北陸、関東、東海)
・モデルハウス一覧
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モデルルーム所在の都道府県以外でも、施工可能なエリアがございます。
詳しくはお問い合わせフォーム、お近くの支店にお問い合わせください。
>>全国のモデルハウス一覧|ひのきの家を作るなら|もりぞう|木曾ひのきの注文住宅(信越・北陸、関東、東海)
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その他、ひのきにまつわるぜひこちらの記事もご覧ください。
>>フィトンチッドの癒し効果。木の家の「快適」を科学する|こだわりの注文住宅をつくるメディア
>>日本三大美林に選ばれる、木曽ヒノキの美しさ|こだわりの注文住宅をつくるメディア
>>木の家を建てたいのなら、知っておきたい木の種類とその特徴|こだわりの注文住宅をつくるメディア
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<参考文献>
伊勢神宮 >>https://www.isejingu.or.jp/
木曽奉賛会 伊勢神宮式年遷宮 御神木祭 >>https://www.kiso-goshinboku2025.com/
国土交通省 >>https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h25/hakusho/h26/html/n1233c20.html
林野庁 >>https://www.rinya.maff.go.jp/
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