環境への配慮とともに、光熱費がお得になるなどの観点からも注目されている省エネ住宅。これから注文住宅を建てようと考える際に、インターネットなどでその情報を目にすることも多いでしょう。省エネ住宅の基準はその種類によって異なり、それぞれに税制優遇措置も設けられています。
「省エネ住宅」とは、日常生活で燃料や電気などによって消費されるエネルギーを抑えるために設計された住宅のことを指します。その種類については後述しますが、国土交通省が定めた「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」が基準です。1979年に制定された省エネ法は複数回の改正を経て、現在では改正省エネ基準と呼ばれるものを基準としています。
これは、2016年施行の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に基づいており、さらに2020年にはすべての新築住宅に建築物省エネ法基準を義務化する改正の実施が予定されています。
また、灯油や都市ガスといった2次エネルギーを石油や天然ガスなどの1次エネルギーに換算すると消費量がどのくらいになるのかも評価基準に加えられているのです。冷暖房・換気・照明・給湯など、住宅で消費された2次エネルギーを1次エネルギー消費量に変換し、その量が基準より少ない場合、「省エネ住宅」となります。
省エネ住宅にはいくつかの種類があります。建てた後にリフォームをするのは容易ではありませんので、家づくりの段階で住環境に合ったものを意識してみましょう。
従来の造って壊すスクラップ&ビルド型から、良いものを手入れしながら長く使う「ストック活用型」への転換を目的として措置を講じた住宅が、長期優良住宅です。劣化対策や耐震性などの項目を満たす必要があり、その中には省エネルギー対策も含まれています。
特に都市部の二酸化炭素排出量を問題視して2012年に施行された「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」。この法律の中で低炭素建築物の一つとして扱われているのが低炭素住宅です。天井・外壁・床など外皮の断熱性能、1次エネルギー消費量などの評価項目を満たすことが認定の基準となっています。
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、四季を通じて快適な室内環境を整え、同時に年間の一次消費エネルギー量が収支ゼロ以下となることを目指す住宅のことを指します。具体的には高断熱、高性能設備システムと再生可能エネルギーの導入が必要です。経済産業省では2020年に新築注文住宅の過半数が、そして2030年までに建売住宅・集合住宅を含む新築住宅の平均がZEHとなることを推進しています。また、国土交通省・環境省との3省連携で補助金支援の取り組みも始まっており、今後の住宅のスタンダードとなることが予想されます。
条件を満たした省エネ住宅を建てると、住宅の種類によって補助金や減税といった優遇措置を受けることができます。
ZEHを新築する場合、関係省庁の連携により、補助金を受け取ることができます。例えば、2018年度の補助額は以下の通りで、通常のZEHと、さらに省エネ・再エネ(再生可能エネルギー)を拡大したZEH+(プラス)でその額は異なります。
補助額(1戸あたり) | 蓄電システム | |
---|---|---|
ZEH | 70万円 | 3万円/kWh (上限30万円または補助対象経費の3分の1のいずれか低い額) |
ZEH+ | 115万円 | 3万円/kWh(上限45万円または補助対象経費の3分の1のいずれか低い額) |
ZEHとZEH+における補助額の違い(図=MORIZOU online編集部)
ただし、補助事業は年度ごとの国の予算によって内容が異なるため、これからZEHを建てて補助金の申し込みをしようと考える場合には最新の情報を得ることが大切です。
控除対象借入限度額 | 最大控除額 | |
---|---|---|
一般住宅 | 4,000万円 | 400万円 |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
5,000万円 | 500万円 |
※2014年4月から2023年12月末までに入居
(図=MORIZOU online編集部)
また、当初10年間は金利引き下げとなる【フラット35】S金利Aプランの利用が可能となります。
税率 | |
---|---|
本則 | 0.4% |
一般住宅特例 | 0.15% |
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
0.1% |
※2012年3月31日までに取得
(図=MORIZOU online編集部)
さらに、認定長期優良住宅では、固定資産税が2分の1になる減額措置適用期間が一般住宅の3年間から5年間に、不動産取得税が一般住宅の1,200万円から1,300万円になる措置を受けることが可能です。いずれも2020年3月31日までに新築された住宅であることが条件となっています。
今回は、環境にも家計にも優しい省エネ住宅についてご紹介しました。省エネ基準を高いレベルで満たす住宅を新築するためには、一般住宅よりも建築費が高額となってしまうこともありますが、将来にわたる光熱費はお得になるというメリットは魅力です。ランニングコストやライフサイクルコストを考えつつ、補助金や税制優遇を上手に利用しながら、今後のスタンダードとなりそうな省エネ住宅を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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