日本の住宅は木造や鉄筋コンクリート造など、さまざまな工法で造られます。それぞれに特徴があり耐久性や耐震性に違いがありますが、これから注文住宅を建てる場合にはどの工法を選べばいいのでしょうか。工法別に特徴やメリット・デメリットを見てみましょう。
木造軸組工法は別名を在来工法といい、日本の住宅において伝統的な工法です。土台の上に、柱と梁で住宅の骨組を造って建築します。純和風の住宅向けの工法というイメージがあるかもしれませんが、日本で最も多く採用されている建築工法です。自由な間取りやデザインに対応できるのが特長です。
柱と梁を構造体としているため、壁を抜いて広い間取りにしたり、窓や出入り口などの開口部を広く取ったりと、開放的な家づくりにおすすめです。間取りをアレンジしやすいということは、将来の増改築がしやすいということにつながります。使用する木材によっては、他の工法よりも比較的安い費用で建てられるのがメリットです。
従来、木造の住宅は遮音性がやや低いというデメリットがありましたが、外壁や窓に防音対策を施すことで、遮音性が高く、騒音等も響きにくい快適な住宅を建てられます。
木造住宅の工法として、北米を発祥とするツーバイフォー工法は、使用する角材のサイズが2×4インチに統一された枠組壁工法を指します。角材のサイズが2×6インチの場合はツーバイシックス工法、2×8インチはツーバイエイト工法と、サイズによって呼び名が変わります。建築時には、角材で作った枠組に、合板や石膏ボードを張り、天井・壁・床として製作し、家を建てています。
住宅を支えるのが柱ではなく面であることから耐震性が高く、気密性・断熱性にも優れているのがメリットといえます。工期は2ヵ月程度と短く、屋外からの騒音をシャットアウトする性能も高めです。職人の技術による品質の差は見られません。その反面、間取りや窓の設置部分などに一定の制限があるため、「住宅設計およびリフォームにおける自由度は低い」という点に注意が必要です。
鉄筋を組んで型枠で囲い、コンクリートを流し込んで固めて壁や床などの建築材として使用する工法を、壁式鉄筋コンクリート工法といいます。ツーバイフォー工法と同様に壁で住宅を支えますが、壁や床を鉄筋で製作するため、間取りやリフォームに関しては自由度が比較的高いといえるでしょう。柱と梁を設けないことから広く快適な居住空間を確保でき、近年では3階建て住宅の建築によく用いられています。
耐火性と遮音性も高めです。最強クラスの大きな地震に見舞われながらも被害をごくわずかに抑えた過去の事例から、特に耐震性に富んだ住宅工法との評価もあります。最大のデメリットは工期の長さです。工事の可否が天候によって決まるため、時には長期にわたる工事中断を余儀なくされることもあります。住宅工法の中では費用が高い点もマイナスポイントです。
鉄骨造は、厚さ6ミリメートル未満の鋼材を柱や梁などに使用する2階建て向きの「軽量鉄骨造」、6ミリメートル以上の鋼材を溶接しながら工事を進める3階建てにも適した「重量鉄骨造」の2種類に分けられます。軽量鉄骨造は多くのメーカーが対応していますが、重量鉄骨造に対応できる施工会社は限られています。
工期は4ヵ月程度と短く、メリットとしては柱と梁だけで躯体を構成できるため、大きな空間を設けられる点、自由にレイアウトできる点があげられます。デメリットとしては、費用が木造軸組工法より高い傾向にあり、夏場の暑さと冬場の寒さにも注意する点があげられます。
工場であらかじめ生産した壁・屋根・柱などの建築材を現場で組み立てる工法です。プレハブ工法には、主に4種類の工法があります。
1.木造軸組工法に似たタイプの「木質系」
2.鉄骨造に似たタイプの「鉄骨系」
3.8割程度の作業を工場で終えた箱型の立方体を組み立てる「ユニット系」
4.工場で生産したコンクリート製パネルを現場で床、外壁、屋根として組み立てていく「コンクリート系」
プレハブ工法の大きなメリットは、一定品質の建築材を生産する工場が多く、住宅ごとの質に差がほとんど生じない点です。種類によっては費用が安く、かつ短期間で住宅を建てたい方にもおすすめです。ただし、住宅のデザインと間取りには自由が効きにくく、希望通りの一戸建てにはならない場合もあります。
最後に、住宅工法5種類の特徴について簡単に振り返ってみましょう。
1.木造軸組工法:オールマイティな住宅
2.ツーバイフォー工法:高品質な住宅を短期間で
3.壁式鉄筋コンクリート工法:耐火・耐震性抜群の住宅
4.鉄骨造:工期が短く工法によって自由なレイアウト
5.プレハブ工法:短い工期で比較的低価格住宅
費用や工期だけでなく、設計の自由度にも関わってくる住宅工法。家づくりの際には、「こだわりを実現するためにどの工法が最適か」をしっかりと検討しましょう。
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