たとえ、自分名義の土地でも自分のイメージ通りに建物を建てることができない場合もあります。なぜなら、日本には10種類の用途地域というものがあり、その地域内で建築できる建物には制限が定められているからです。また、そのルールの中に「建ぺい率」や「容積率」というものがあります。「建ぺい率」は、敷地面積に対する建築面積の割合です。
一方、「容積率」は敷地面積に対する延べ床面積の割合になります。ここでいう建築物には、住宅だけでなく車庫も含まれます。そこで、疑問になるのが壁のないカーポートのことです。カーポートは、車庫と同様に建築物に含まれるのでしょうか。
ひと口に車庫といっても下記のようにさまざまなものがあります。
・コンクリートでできたもの
・住宅内の車庫、擁壁(ようへき)に掘り込んだ車庫
・カーポートなど
カーポートは、壁がなく柱と屋根だけで構成されています。一方、一般的なガレージは三方に壁があり、出入り口と屋根がついているのが特徴です。建築基準法では、土地に定着していて屋根と柱、もしくは壁を有する物が建築物と定められています。つまり、屋根と柱のあるカーポートも建築物とみなされるのです。
車庫もカーポートも同様に、それぞれの面積が建ぺい率や容積率に影響します。ただし、次のような場合には緩和措置がとられています。車庫の柱のそれぞれから車庫の中心に向かって1メートルまでの部分を除き、建築面積に算入されません。
・外壁のない部分が連続して4メートル以上
・柱の間隔が2メートル以上
・天井の高さが2.1メートル以上
・地階を除く階数が1
また、カーポートも車庫も「敷地内における建築物の延床面積の5分の1を限度として延床面積に算入しない」という容積率の緩和措置が受けられます。カーポートの場合、4メートル以上壁のないものを選べば、建築面積に算入されないということになります。どちらの緩和措置も自治体によって内容が異なることがあるので詳しくは、住宅を建築する予定地の自治体に問い合わせてみてください。
次に、車庫に必要な面積を考えましょう。車1台に必要なスペースは、地面から天井までの高さが2.1メートル以上、幅3メートル、奥行6メートルほどです。面積でいうと18平方メートル(約5.5坪)の土地が必要になります。2台分ならその倍の36平方メートル(約11坪)、3台分なら3倍の54平方メートル(約16坪)程度面の積を想定しておきましょう。
カーポートでもガレージでも、意外と土地を必要とすることが分かりました。ここからは、車庫とカーポートを建てる際の建ぺい率と容積率の計算方法について解説します。
建ぺい率60%、容積率80%の制限が設けられている用途地域に200平方メートルの土地を購入し、住宅を建築する場合、200平方メートル×60%=120平方メートル(約36坪)の土地が利用できます。延べ床面積は、200平方メートル×80%=160平方メートル、坪数にして48坪までの建築物を建築できます。
壁のある車庫を建てるのであれば、1台分で18平方メートル(約5.5坪)、2台分で36平方メートル(約11坪)の土地が必要になるので、住宅の建築面積は84~102平方メートル(約25~30坪)となります。容積率については、敷地内にある建築物の延床面積の5分の1までは緩和措置がとられます。そのため、延床面積115平方メートル(約35坪)の家なら、115平方メートル×5分の1=23平方メートル(約7坪)までは車庫でも容積率に含まれません。
上記と同様に、200平方メートルの土地にカーポートを建てる場合を考えてみましょう。幅4メートル、奥行き6メートルのカーポートを設置すると、建ぺい率にも容積率にも影響しません。ただし、建ぺい率ではカーポートの柱の先端から1メートルの部分は建物面積とされます。建ぺい率や容積率がギリギリの住宅を建ててしまうと、カーポートでも建築基準法に違反してしまうことがあるため注意が必要です。
一定の要件を満たしたカーポートであれば、緩和措置によってほぼ建ぺい率に影響しないことが分かりました。また、壁のある車庫でも容積率の部分で緩和措置があります。「限られた土地にできるだけ広い家を建てたい」という考える人は多いかもしれませんが、建築基準法に違反しないよう、設計士や住宅会社に相談しながら新しい家と車庫を設計してもらいましょう。
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