木の家設計グランプリは、建築家を目指す学生が課題のテーマに沿った木の家の設計を行い、それをプロの建築家が審査するコンテストです。2019年は「小さな家。少ない家。」をテーマに数多くのアイデアが寄せられました。今回は、日本の建築の未来を担う学生のハイレベルかつ熱い戦いが繰り広げられる木の家設計グランプリや学生向けの建築コンテストの内容について紹介します。
木の家設計グランプリとは、建築を学ぶ学生を対象とした木造住宅の設計コンテストです。2019年は4月1日~8月31日までエントリーが行われ、2019年9月22日に上位者によるプレゼンテーションおよび公開審査・授賞式が行われました。このコンテストは、日本の気候と風土に合うよう工夫された日本独自の建築文化を守るとともに新しい世代に木造住宅のすばらしさを伝えるために開催されています。
今回の受賞者の設計図と模型を見るといずれも個性的なデザインでありながら機能性も重視されていることが分かるのではないでしょうか。学生それぞれが悩みぬいて造り上げた木造住宅は、「農村で暮らすことを考えた家」「伝統的な町屋を近代的にアレンジした家」「家族構成の変化を考えた間取りの家」などコンセプトも設計もさまざまでした。
こちらのWebサイトから受賞作品の設計が見られます。住宅の購入を考えている人は、間取りなどの参考にご覧ください。
>>受賞作品|木の家設計グランプリ
学生たちの柔軟な発想から生まれる自由で個性的な設計コンテストは、木の家設計グランプリ以外にも複数あります。
木材利用の推進と木の文化の継承を目的としたコンテストです。木造住宅だけでなく木製家具の設計のコンテストも行われます。京都府産のスギやヒノキの特性を生かすことを前提として2019年は「縁側や窓からの風景を楽しめる家」をテーマに募集が行われました。2019年11月下旬に京都パルスプラザで開催される「農林水産フェスティバル」で表彰式が行われます。
建築業界を目指す学生の育成と支援を目的として開催されている設計コンテストです。このコンテストの受賞作品は実際に商品化される可能性もあるほかグランプリには賞金30万円が授与されます。2019年のテーマは「やわらかい木造の住まい」で全国から161点の作品が寄せられました。2018年のテーマは「100年木造住宅」で205点の作品の中からグランプリに選ばれたのは「マチドマのある暮らし」というタイトルのシェアハウスでした。
大きな屋根の下には、いくつもの部屋と空間があり、それらは四方に広がる通路とつながっています。プライバシーを守りながら人と街と緩やかにつながることができるシェアハウスとして審査員から高評価を受けました。
日本で古くから木造住宅が選ばれているのには理由があります。夏は暑く湿度が高く冬は寒く乾燥する日本の気候風土には、木の家がぴったりなのです。日本では、梅雨から夏の時期にはカビが発生し冬は寒さで結露が起こりやすく、一方で暖房やエアコンの影響で室内の空気が乾燥しすぎてしまうことがあります。
木材には天然の湿度調整機能が備わっており湿度が高い時期には吸湿し乾燥しているときには放湿します。木造住宅にすることで木の湿度調節機能の恩恵が受けられるわけです。また天然の木材には消臭・抗菌効果が認められています。木が放つ香りにはダニの行動を抑制する効果があることも研究で明らかになりました。
環境への影響も鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも木造のほうが少ないことが分かっています。さらに国産の木材を使用することで運搬時のCO2排出量も削減できます。住む人の体にやさしく、さらに環境にもやさしいのが木造住宅なのです。
住宅は暮らしの中心にある大切な存在です。暮らしを豊かにするために住宅にはとことんこだわりたい人も多いのではないでしょうか。パンフレットやモデルハウスだけでなく学生向けのコンテストにも住まいのヒントが多くあります。木造住宅のすばらしさや面白さをコンテストから見つけ出してみましょう。家づくりの新たな視点が得られるかもしれません。
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