木は、古くから世界中で建材として利用されてきました。今、その価値が再認識され、近年では欧米で「木造のビル」が建築されています。ここでは、世界中にある木造建築と木造建築のメリットを紹介します。
日本では世界最古の木造建築である法隆寺が有名ですが、海外にも驚くような木造建築があります。
ロシアの小さな島、キジ島にあるプレオブラジェンスカヤ教会は、18世紀に建築された世界遺産に登録されている木造建築の教会です。古くから日本の寺社と同じく、釘を使わず木組みだけで建てられています。設計図はなく、斧で木材を加工しながら建てられたといわれています。外壁に施された細やかなデザインの白木が、光を浴びるとシルバーに輝くのも幻想的です。建築物ファンなら一度は見ておきたい木造建築物といえるでしょう。
タイの有名なリゾート地パタヤにある寺院のサンキチュアリー・オブ・トゥルースは、アジアのサグラダファミリアといわれる建築物です。その名のとおり、30年ほど前に建築が始まり、現在でも建築中というのがこの建築物の注目ポイントです。建物の前には池があり、晴れた日には鏡のように建物を映し出してくれます。
この建物に近づいて目を凝らしてみると、特徴的な形状の屋根の先端には、数々の仏像が飾られていることが分かります。タイならではの独特な雰囲気に細やかな装飾が合わさって、神秘的な空間をつくり出しています
ノルウェーのかつての首都ベルゲンには、ドイツ人居留地となっていた中世のハンザ同盟時代の木造倉庫群であるブリッゲンがあります。港に面してずらりと並ぶ切妻屋根のカラフルな木造倉庫群は、適切な修繕によって海のそばにあるにもかかわらず、今なおその姿を残しています。現在は、商店や飲食店、ミュージアムになっており、観光客も建物内に足を踏み入れることができます。
黄金の宮殿という意味を持つシュエナンドー僧院は、ミャンマーのマンダレーにあります。チーク材を用いた木造建築で、外壁や屋根には仏教らしい細やかな彫刻が施されています。この僧院は、ビルマ王朝の歴史をその姿で語る大変貴重な木造建築です。
テアトロ・ファルネーゼは、1618年に建築されたイタリアの劇場です。他のきらびやかな劇場とは異なり、木のぬくもりが感じられます。観客席と舞台を隔てる額縁状の構造であるプロセニアム・アーチを備えている最古の劇場としても有名です。第二次世界大戦によって損傷してしまいましたが、その後、再建されています。
古くから、日本だけでなく世界中で大型の木造建築物が建造されていることが分かりました。さらに、近年では、木造の高層ビルまで建設されています。
カナダのバンクーバーには、柱や床などの主要構造材に木を用いた高層ビル「ブロックコモンズ」があります。2017年に完成したこのビルは、木材を多用しているのにもかかわらず、高さ53メートル、地上18階というのだから驚きです。
同規模の施設をコンクリートで建てる場合に比べ、工期を4ヵ月も短縮できたほか、二酸化炭素の排出量を243万2,000トンも削減したといいます。
コンクリート造に比べて地球環境に配慮しつつ工期を短くでき、さらに軽量化もできる木造の大型建造物は今後も増加する可能性があります。日本で古くから親しまれてきた木造建築には、これ以外にもさまざまなメリットがあるのです。例えば、ヒノキをふんだんに使って建てられた家には、ヒノキ独特の清涼感のある香りが漂い、自宅にいながら森林浴をしているような気分にさせてくれるでしょう。
木は伐採したあとも呼吸を続け、住宅内の湿度を調整してくれます。また、古くからの日本の工法である木造軸組工法は、間取りの自由度が高く自分好みの住宅を建てられます。木造の家には、人に優しいメリットが多数あるのです。
日本だけでなく、世界中で古くから建築に利用されてきた木材。世界の木造建築を見てみると、修復を重ねながら長い年月を経てもなお現存していることに驚かされます。さまざまなメリットを持つ木材を、注文住宅に採用してみてはいかがでしょうか。
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