近年、不動産とITを組み合わせた「不動産テック」が注目されています。例えば、スマートフォンで操作できる鍵「スマートロック」の機能が付いている玄関ドア、オンライン上でAIやチャットによって接客を行う不動産会社など、その形態はさまざまです。中でも、特に着目しておきたいのがVR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)を導入した事例です。ここでは、不動産業界におけるVRの活用事例について紹介します。
それでは、早速いくつかの事例を見ていきましょう。
現在の居住地から離れている場所の賃貸住宅を契約したいとき、実際に現地に足を運んでの内見が難しい場合があります。特に、住んでいるところから離れた大学へ進学が決まった受験生や、急に決まった異動に伴う転勤などでは、内見せずに賃貸契約をしなければならないこともあるでしょう。そういった場合に活用できるのが、VRを活用した内見サービスです。
株式会社ジェイ・エス・ビー・ネットワークでは、学生向けマンションの内見にVR画像を活用した内見サービスを導入しました。これにより、受験生はこれから進学を希望している地域での部屋探しの時間を大きく削減できます。不動産業界大手の野村不動産グループでも、VR内見を取り入れ始めました。野村不動産アーバンネット株式会社の一部店舗で、2018年11月下旬より試験的に導入されます。
このVR内見は、これまでのものと異なり、装置を装着し、実際に歩いたり座ったりしながら物件を体感できます。今までのVRでは、疑似的に歩く映像を視聴するのみでしたが、こちらは実際に歩きながら視聴できるため、玄関からキッチンまでの距離、キッチンカウンターの高さといったものまで確認できるのが特徴です。
VRを利用して、建築完了前の建売住宅を確認することもできます。東急リバブル株式会社では、新築建売住宅において、周辺環境や建物の外観・内観が確認できるVRを導入しました。建築完了前では、平面の図面や建物のない状態の土地から建物や環境をイメージするため、「実際に建てられた住宅が想像とは違っていた」ということもあります。しかし、VRを導入することによって、こういったミスマッチを防ぐことが可能です。
注文住宅やデザイン住宅を手掛けているフリーダムアーキテクツデザイン株式会社では、フルリノベーションを行う中古マンションの設計図面をもとに作られた3Dモデルの中を自由に歩けるVRシステムを開発。リノベーション後のマンションをバーチャルに体感できるようになっています。こちらも野村不動産同様、「VR機器を付けて歩く」ことができます。
不動産テックでのVR活用は、間取りや住宅内部の確認にとどまりません。ここからは、さらなるVRの活用方法をご紹介します。
こちらは、三菱地所ハウスネット株式会社の例です。VRによって遠隔地にある間取りを見ることはできますが、実際にその営業所の担当者とリアルタイムでコミュニケーションを取ることはできません。ところが、こちらの遠隔接客システムならVRで物件を確認しながら、リアルタイムに現地担当者と相談することができます。つまり、実際に内見している状況とほぼ変わらない状態でVR内見ができるのです。
YKK AP株式会社では、「自宅にガーデンルームを設置するとどのような暮らしができるのか」を、VRで体験できるコンテンツを開発しています。ガーデンルームがあると住宅の外観や内部の雰囲気はどうなるのか、室内から見るガーデンルームの様子など、さまざまな角度から確認できるのが特徴です。スマートフォンを専用ゴーグルにセットしてみることができるほか、スマートフォン単体、パソコンでの閲覧も可能です。
テクノロジーの波は不動産業界にも訪れており、それによって理想の住宅を探し、造るためのコストダウンも可能になります。間取りの図面だけでは分かりにくい細部の確認、インテリアの配置、コンセントの位置など、細かい部分まで想像しやすくなり、打ち合わせの回数も減らせるかもしれません。
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