新しく住宅を建てるにあたり、忘れずに加入しておきたいのが保険です。「丈夫な家を建てるから保険はいらない」「自然災害の少ない地域だから大丈夫」などと安心せず、もしもに備えてどんな保険があるのか知り、最適なものを選ぶようにしましょう。
火災保険や地震保険に新しく加入するとなると、年間の出費は増えてしまいます。住宅を建てるだけでも多額の費用が必要となるため、負担増はなるべく避けたいと考えるかもしれません。
しかし、住宅保険に加入する必要性は決して低いとは言えません。総務省消防庁が公表した「平成29年(1~12月)における火災の状況」によると、2017年に全国で発生した住宅火災件数は1万1,408件で、前年より0.5%増加しました。地震においても、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震など、近年は日本国内で大きな地震が発生しています。
万が一、火災や地震によって自分たちの住宅に被害が及ぶと、修理または建て直しなどのためにまとまった資金が必要になってしまいます。場合によっては予想以上の出費となることもあるでしょう。あらかじめ住宅保険に加入していれば必要資金に保険金を充てられるため、経済的負担を軽くすることができるのです。
また、住宅ローンの融資を申し込む際、保険期間や補償など一定の条件を満たす火災保険への加入が必須となっていることも少なくありません。住宅ローンと一緒に火災保険商品をすすめられることがありますが、必要な補償のみを組み合わせた保険を自分で探し契約しても問題ありません。
それでは、住宅保険の主な種類を見てみましょう。住宅保険には、医療保険と同じように、掛け捨て型と積み立て型の両方が存在します。掛け捨て型は補償を利用しなかった際に満期返戻金を受け取ることができませんが、保険料が割安です。一方で積み立て型は、一定の時期に満期返戻金を受け取れる貯蓄型の保険ですが、保険料の負担が大きくなってしまいます。住宅保険の場合には掛け捨て型商品が一般的です。
火災保険は、火災により被害を受けたものを補償する保険のことです。火の消し忘れによる失火だけでなく、隣家からのもらい火や第三者に放火されて消失した場合にも補償されます。対象となるのは建物と家財の2種類で、保険金による補償を受けるためにはそれぞれに保険を掛けなければなりません。例えば、建物部分だけに火災保険を掛けた場合、住宅そのものの被害は補償されますが、家具や衣類など家財の被害に対しては保険金がおりません。
重要なポイントとして、火災保険の補償対象には、火災だけではなく、落雷、風災、水害など多くの自然災害による被害を含むプランもある点が挙げられます。さらに、ガス漏れが原因の破裂、漏水で濡れてしまった住宅部分に加え、空き巣に入られた際の窓ガラスの損傷や家財の盗難等の被害等が補償される保険商品もあるため、さらに手厚い補償で備えたい場合にぴったりです。
地震保険は、地震をはじめ、噴火やこれらにより発生した津波による被害を補償する保険制度を指します。対象は建物と家財の両方で、それぞれに保険を掛ける必要はありません。火災保険に付帯して契約する保険であるため、単独で契約することはできず、地震保険で契約できる保険金額は、火災保険額の50%まで(建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額)とされています。
また、地震保険では支払われる保険金額が、損壊規模によって異なることと、時価を限度額として定めている特徴があります。建物や家財の被害が全損と認められれば保険金は満額となりますが、4段階ある損害区分のうちもっとも小さな損害区分である一部損と認定された場合には保険金のうち5%のみが支払われることとなります。地震保険は、損失分の全額を補償してくれるわけではなく、あくまでも一部を補てんするための備えと考えておきましょう。
住宅保険はさまざまな商品があり、それぞれが、もしもの際に備える心強い存在です。ただし、将来が心配だからといってあれもこれも加入すると、保険料だけで経済的負担が大きくなってしまう恐れがあります。契約する前に、水害や台風被害に見舞われる可能性など、地域の特性をハザードマップなどで確認して選ぶのが得策といえるでしょう。
比較検討して選んだものの、それでも加入保険数が多いという場合には、保険料の支払い方法を工夫してみてください。1年契約では1年ごとに、長期契約では数年分を一括で支払うこととなりますが、一括払いなら保険料が一定の割合で減額されるので、お得に加入することができます。ただし、一括払いで注意すべきなのは一度に支払う金額が高くなることです。支払月の家計負担が大きくなるため、毎年の契約更新が近づく前に資金的な備えの必要があります。
火災保険・地震保険それぞれの期間についても注意しましょう。火災保険は最長10年、地震保険は火災保険の契約期間と保険料の支払い方法によって異なり、1年または2~5年ごとの自動継続という場合が多いようです。火災保険をそのままの内容で更新したい場合には、更新日が近づいたら早めにWeb上または保険会社、取り扱い代理店などで更新手続きを行いましょう。
住宅保険は医療保険と同じように、利用する機会が来ないに越したことはありませんが、もしもの際には経済的負担を減らす心強い存在となってくれるはずです。住宅保険は加入時にしっかりと内容を吟味することが重要ですが、それだけで終わりにせず、定期的に契約内容を確認し、見直しをするようにしたいものです。
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