<もくじ>
1.【空き家の現状】
2.【空き家管理者の高齢化と重い負担】
3.【国の対策に対する反応】
4.【空き家を手放す】
5.【空き家を手放さない人の理由】
6.【空き家をそのまま管理する場合】
7.【空き家をプラスの資産として活用する方法】
8.【まとめ】
令和6年4月から「相続登記の申請義務化」がスタートするなど、ここ数年、国や自治体が【空き家】や【所有者不明の土地】への対策を積極的に行っているのはご存じでしょうか。
総務省が平成30年に実施した住宅・土地統計調査では、「居住世帯のない住宅」のうち「空き家」は846万戸で、そこから「賃貸用住宅」「売却用住宅」「二次的住宅(別荘やセカンドハウス)」を除いた「その他の住宅」が347万戸(41.1%)あるとの調査結果が出ました。
また更に、その調査で「居住世帯のない住宅(空き家)」を所有と回答した世帯に対し、令和元年に国土交通省が「令和元年空き家所有者実態調査」を行った結果を見ると、空き家の現状が非常に良く分かります。
まず特徴的なのは『大都市圏以外 市部』『一戸建』『木造』『昭和55年以前に建築』というキーワードが浮き彫りになり、その割合の高さが伺えます。
更に、貸家・売却用や別荘等の二次的住宅以外の「その他の空き家住宅」における使用状況は、「物置、長期不在、取り壊し予定等」との現状が半数を超え、「人が住まなくなった理由」としては、「別の住宅へ転居」の他「死亡」「老人ホーム等の施設に入居」「転勤、入院などにより長期不在」など、今後も長期にわたり居住の予定がない空き家や、居住世帯のない期間が既に「20年以上」という割合が多いことも明らかになりました。
なお、その取得方法の半数以上は「相続」で、現状として「腐朽・破損がある」割合も6割を超えています。
やはりこの様な状況下では「管理する面での心配事」も多く、「住宅の腐朽・破損の進行」をはじめ「樹木・雑草の繁茂」「不審者の侵入や放火」「地震、豪雪などによる損壊・倒壊」などが挙げられる一方、20年以上の期間居住のない世帯において「心配事はない」と回答している人が約20%もいる点には注目が必要です。
また、所有者側からの視点でなく近隣住民側からの視点として、倒壊や悪臭など周囲に悪影響を及ぼす他、雑草の繁茂による害虫の発生、劣化や自然災害による破損により負傷者を出してしまう場合など安全面を心配する声も多く、適正な管理や対策が求められています。
では、実際にどのような管理がなされているのでしょうか?
この点においては「外回りの清掃、草取り、剪定など」が 78.1%と最も多く、次いで「戸締まりの確認」「住宅の通風・換気」「台風、地震などの後の見回り」などの回答が挙げられていました。
「管理の作業が大変」「遠方に住んでいるので管理が困難」「住宅を利用する予定がないので管理しても無駄になる」「管理費用の負担が重い」など管理をする上での課題も多く、管理の負担を抱えながら別途それぞれの生活の維持をしていかなくてはならない人も多いのが現状のようです。
また先の調査結果の一つとして、空き家所有世帯の家計を主に支える者の年齢は65歳以上が61.5%と、空き家を管理する人の高齢化もまた大きな課題の一つとして挙げられます。

(写真=写真AC)
国も上記のような様々な問題や課題に対して対策が必要と考え、平成27年の「空家等対策の推進に関する特別措置法」をはじめ、ここ数年で法改正だけでなく、税金や制度の整備を行うことで、空き家の減少に向け積極的に動いています。
しかし、その様な対策を「知らない」世帯の割合が多く、逆に「知っている」世帯ほど空き家のままにしておくのではなく「賃貸」や「住む」「取り壊す」「セカンドハウスなどとして利用する」の割合が大きくなっている点も先の国土交通省の追加調査結果から伺えます。
では、適正に管理ができない場合、どのような対策が必要なのでしょうか。
空き家を売却すれば、以降、固定資産税や都市計画税を納める必要はなく、定期的な維持・管理も不要となります。
また、国や自治体が積極的に対策を行うことで、これまでと同様に空き家を放置し続けることは得策ではないと考え「買い手・借り手を探している」「寄付・贈与先を探している」など、手放そうと考えている人が多いのも現状です。
しかし「買い手・借り手の少なさ」だけでなく、「住宅の傷み」「設備や建具の古さ」「リフォーム費用」などの課題も多く、「一定の費用負担を伴っても寄付・贈与をしたい」人もかなり多くいることが分かりました。
実際に空き家を手放すなら、下記のような対策が挙げられます。
・『空き家バンク』に登録する
最近よく耳にする『空き家バンク』はご存じでしょうか。
国や自治体が主体の、いわば空き家のマッチングサイトです。
登録料が無料なのでその手軽さが人気ですが、マッチングした後の賃借・売買の交渉までは行ってくれない点が特徴です。
その為、マッチングした相手と自ら交渉や契約を全て行うか、仲介手数料を支払い業者に間に立ってもらうという選択肢がありますが、一般的な相場価格よりも低い価格での取引が多いとの情報もありますので、その点については契約前にきちんと確認を行い、内容に納得できるかがポイントとなります。
・『プロの空き家売買業者』に依頼する
マッチングが難しそうな土地柄や、リノベーションができず解体が必要な建物、もしくはすぐに現金化したい場合、選択肢の1つとしてプロの空き家売買業者に相談してみるのも一つの手です。
空き家は老朽化が進んでいることが多いため、売主が把握できていない不具合(雨漏りや基礎の劣化など)が潜んでいることが多く、売却してから契約不適合責任を問われ、損害賠償請求をされてしまうケースも少なくありません。
その点、専門の不動産買取業者に依頼すれば、不動産を売却する際に売主が買主に対して負わなければならない契約不適合責任が免除されるような特約をつけてもらえる可能性が高く、仲介手数料がかからないというメリットもあります。
業者によっては、初期費用無料で売買が成立した場合に成功報酬として手数料を支払うというところもあるので、ぜひ色々と調べてみてはいかがでしょうか。
・『国庫帰還』で国に引き取ってもらう
様々な方法を試しても、結果として残念ながらどこからもプラスの収益で引き取り手がなかった場合、最終手段として『国庫帰還』という方法があります。
これは令和5年に成立した法律で、審査手数料を支払い法務局に審査や承認依頼後、申請者が10年分の土地管理費相当額の負担を納付することで、最終的にその土地が国庫に帰属し以降は税金を払わなくて良くなるという制度です。
但し『相続』した土地に限られる他、引き取ることができない土地もあるので、事前に確認が必要です。
→相続土地国庫帰属制度について(法務省)
→相続土地国庫帰属制度の概要(法務省)
空き家を手放したい人がいる一方、あえて空き家を手放さないでそのままにしていたいと回答した人もいます。その理由は「物置として必要」が 60.3%と最も多く、次いで「解体費用をかけたくない」が 46.9%、「更地にしても使い道がない」が 36.7%、「好きなときに利用や処分ができなくなる」が33.8%などです。
空き家対策は大きく分けて2つ「手元に残すか・手放すか」ですが、土地柄、持続的に収益化出来る可能性があるならば、ぜひプラスの財産として手元に残し大いに活用することをご検討されてみてはいかがでしょうか。
しかしながら、空き家を放置する理由として「売却や賃貸を希望するが買い手/借り手が見つからない」「活用もしくは処分するにしても(活用や処分の費用や解体後の固定資産税増といった)お金がかかる」との回答が多く、共に空き家放置の背景には「お金」の問題が大きく関わっていることが伺えます。
・『空き家管理サービス』を利用する
自宅から頻繁に行くことが出来ない遠方や自力で管理するのが難しいけれど「将来的には活用する予定がある」など、今すぐ空き家を手放す気はないという方は、プロの業者に管理を委託する『空き家管理サービス』を利用する方法もあります。
交通費や時間などの手間を考えると、多少委託費用がかかっても管理サービスを利用する方が心身の負担が軽くなるだけでなく、特定空き家に指定されるリスクも回避できます。
ただ、委託費用によりサービス内容が異なるため、価格だけでなく管理内容についても詳しく事前の確認が必要です。

(写真=写真AC)
空き家を積極的に活用する方法として、下記の対策案はいかがでしょうか。
・『空き家・空き地バンク』を利用する
先にご紹介した空き家のマッチングサービスは、売買だけでなく賃貸でも利用できます。
売買と同様に登録費用は不要ですが、物件情報を提供するだけのサイトの為、物件所有者と直接交渉が必要となります。
また、もし宅建業者が仲介した場合は、契約成立時には一定の仲介手数料が必要となります。
・『補助金があるか行政に確認する』
国や自治体の空き家に対する補助金や、空き家対策として必要なリフォームやリノベーションに対する補助制度があるか、ぜひ一度ご確認ください。
自治体により空き家の取得にかかる費用だけでなくリフォームや改修にかかる費用の他、建物の解体にかかる費用に対しても補助金が支給される自治体もあります。
「補助金の有無や内容」「受給条件」が異なるため、補助金の活用を検討している場合は、あらかじめ各自治体の制度を調べてみることをおすすめいたします。
・『空き家の収益化』と『空き家サポートビジネス』
立地によって求められるニーズは様々でそれぞれに対応した対策が必要ですが、都市部なら賃貸物件などプラスの資産として活用する方法を前向きに検討してみる価値はあるかもしれません。
ただ、例え収益が入るとしても、賃貸物件の所有者として運営を続けていくためには利用者との交渉や設備の故障などの対応、維持費や修繕費などコスト的な面でも空き家を管理する以上の負担があることは容易に想像できます。
その為、時間や労力を気にせず管理をするのが難しい場合は、プロの管理業者へ収益の一部を委託料として支払ってもお任せするのがお勧めです。
そんな『空き家サポートビジネス』の中には、所有者は初めの自己負担金は0円で希望の活用方法があれば伝えるだけでOKという手軽なサービスもあります。
業者側が利用希望者を探して打ち合わせやリフォームも行ってくれた後、利用希望者側から払われる賃貸料の一部を所有者に還元するというサービスです。
都市部であれば「賃貸住宅」「店舗兼住宅」「シェアオフィス」「貸倉庫」「宿泊施設」「飲食店」「室内駐輪場」「高齢者用デイサービス」などの活用方法も挙げられます。
空き家を賃貸物件として活用できれば、毎月家賃収入を得られるだけでなく、入居者が日常的な維持・管理を行ってくれるので、手間をかけずに建物の状態を維持できるという利点もあります。
空き家を手放したくない理由の中に「倉庫として使っている」との回答も多かったので、「貸倉庫」として自分の荷物も置きながら収益も得るという選択肢も良いかもしれません。
・自宅を担保に借りられるローン『リバースモーゲージ』
『リバースモーゲージ』という言葉を、最近CMなどで耳にされた方も多いと思いますが、この『リバースモーゲージ』には2種類あります。
1つは、自宅を担保に【生活資金】を借りられるローン商品『リバースモーゲージ』と、もう1つは、自宅を担保に【住宅関係に限定された資金】を借りられるローン商品『リバースモーゲージ型住宅ローン』です。
どちらも生前中は元本の返済が不要で、他界後に担保不動産を売却し返済するという点では同じですが、資金の用途だけでなく債務が遺族に引き継がれるかなど、それぞれメリット・デメリットがありますので、様々な意見を聞き身内の方にもご相談の上、慎重に検討されることをおすすめいたします。
核家族化が進み親世代と子世代それぞれが別々の家で住むようになり、また故郷を離れ仕事のある都心部に移住しそこで生活の基盤を築くようになったことで、これまでのように代々『家を住み継ぐ』ことが少なくなりました。
結果、自分の家や生活の基盤のある土地とは離れた場所の土地や家を相続し管理するという現状が多くなっています。
親の高齢化が進むことで、結果として親から相続を受ける子供側の年齢も昔より高齢化し、管理するには体力的にも金銭的にも負担が大きいことが伺えます。
または、親がまだ元気なのに相続の話をするのは気が引けると思っているうちに、親が認知症を発症し正常な判断が出来ず、相続ができなくなってしまったなんて話もあります。
思い入れがある故郷の家や、親が大切に守ってきた家ならなおさら判断が難しくなるため、自治体への相談や第3者の客観的な意見などを積極的に参考にするなど、早めの対策を行うことが望ましいです。
いずれにせよ、空き家対策を行うということは、仮に目に見えるプラスの収益が無くとも、今後何年も果てしなく続く毎年の固定資産税などの税金の支払いや負担の大きい管理などマイナスの要因から解放されるだけでなく、その様なマイナスの資産を自分の子供など更に下の世代に引き継がせないですむという点では、むしろプラスと考えることもできるのではないでしょうか。
空き家を取り壊して更地にすれば固定資産税が増えてしまうため、税金対策として空き家を放置しているケースも少なくありませんが、とは言え、古い空き家の場合、一度取り壊してしまうと法律上再び建物を建てることができない「再建築不可」のケースも存在します。
あまりに老朽化が進んでいる空き家だと、リフォーム代が非常に高額となり、賃貸として貸し出しても黒字化するのに時間がかかり、万が一、入居者が見つからない場合はリフォーム代がまるまる赤字になってしまう場合もあるので、まずは一度、空き家の無料相談会や自治体による専門家団体の紹介など、空き家所有者向けの窓口や受付でご相談してみることをお勧めいたします。
最後に、弊社は解体から建て替えはもちろん、リフォーム・リノベーションなどの実績も多く、店舗併用住宅や賃貸住宅の建設など、土地の活用から相続等のご相談まで幅広く皆様へサービスの提供を行っております。
思い出の詰まった建物の建て替えの際には、建て替え前の庭や木材・石材などを建て替え後にも大切に生かすなど、お客様お一人お一人のご希望に寄り添ったご対応をさせていただいております。
まずはお気軽に弊社各営業所までお問い合わせください。

モデルルーム(写真=株式会社もりぞう)
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